Cherry Blossoms〜白銀の女神〜
「雨宮、成長したな。少し前に出張で沖縄に行った時、何も考えずに出されたお茶を飲もうとしていたのに」

桜士がそう言うと、「めちゃくちゃ怒られましたからね、さすがに二度目はしませんよ」と十は言いながら検査キットの中にコーヒーを少量注いで振っていく。

「うん、毒物は入ってないですね」

十は安心したように微笑み、次はケーキを調べ始める。ケーキにも何も問題はないようだ。

「本田先生、ケーキ食べましょうよ!これ本当にうまそうですよ!」

十はそう言い、コーヒーを一口飲んだ後にケーキにフォークを刺す。チョコレートケーキのそばには生クリームとラズベリーが添えられ、チョコレートソースがかけられている。

「うま〜!」

幸せそうに十は笑う。その笑顔を見て桜士の頭の中に浮かんだのは、桜士が片想いをしている四月一日一花(わたぬきいちか)のことだ。

食べることが大好きな彼女は、いつも病院の食堂のメニューやカフェで注文した料理をおいしそうに食べる。その表情に、公安警察と医師という顔を持つ桜士はいつも癒されているのだ。
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