Cherry Blossoms〜白銀の女神〜
「ああ〜、大丈夫ですよ!聞かなかったことにしましょう!ね、本田先生!」

十がフォローするかのように桜士の方を見る。これは聞かなかったことにした方がいいだろうと、桜士も頷いた。すると、一組のカップルが近付いてくる。

「俺たち、見ていましたよ。先ほどあの男性がフラフラ歩いて、自分からそこの従業員さんにぶつかったのを」

「自分からぶつかったくせに文句言うなんて、頭おかしいとしか思えないですよ!」

そう話すのは、ボディービルダーのように体格のいい黒人男性と顔に火傷の痕がある女性だ。二人は「嫌な人だね」と顔を見合わせて話している。

「自分からぶつかったのかよ……」

十が呆れながら言い、桜士はおおかたスマホを見ながら歩いていたのだろうと推測する。桃は二人にも頭を下げていた。

「あの、お礼と言っては何ですが、あとでコーヒーとケーキのサービスをさせてください。お名前とお部屋の番号をお聞きしてもよろしいですか?」
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