Cherry Blossoms〜白銀の女神〜
桃がそう言い、桜士はすぐに「そんな、大したことをしたわけではありませんし……」と断った。これでも一応正義を掲げる警察官の一人なのだ。その使命を果たしたに過ぎない。だが、桃は引くことはなかった。

「きっと皆さんがいなかったら、私は今頃殴られていたでしょうし……。お願いです!お礼をさせてください!」

「ここのパティシエの作ったケーキ、おいしいんですよ。今日のケーキは確か、ラズベリーチョコケーキだったと思います。絶品ですよ!」

桃だけでなく、ジェイムズまでもが説得に加わる。すると、目を輝かせたカップルが名前と部屋番号を教えてしまった。

「吉田日陽花(よしだひよか)、部屋は106号室です」

「同じく106号室のテッド・リンダールです」

二人はジッと桜士と十を見つめる。こうなっては断ることができない。渋々二人も口を開く。

「103号室の本田凌です」

「同じく103号室の雨宮唯です」

桃はメモ帳に名前と部屋番号を記入すると、「お部屋にすぐお持ちいたします」と言い、ペコリを頭を下げて足早に去って行く。
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