成瀬課長はヒミツにしたい
「どうした?!」

 成瀬が慌てて身体を起こすと、真理子を振り返る。

「あの……。一日だけ、ファイルの保存先を間違えてる日があるんです。でも気がついたのか、すぐに削除されてはいるんですが……」

 真理子は困惑した表情のまま、成瀬の顔を見つめた。

 ログには、卓也がファイルをアップした5分後に、削除している事が記録されている。


「保存先は、どこだったんだ?」

「WEBサーバーの……非公開フォルダです」

「非公開フォルダ? 外部からは、閲覧出来ないって言ってたよな?」

「はい。アクセス権限が設定されているので、《《非公開》》から《《公開》》に権限を変更しない限りは、閲覧できません」

 真理子の言葉に、成瀬の肩がピクリと反応する。


「ちょっと待て……」

 成瀬は、自分の頭の中を整理するようにしばらく目を閉じてから、ゆっくりと片手を上げた。

「非公開フォルダの、アクセス権限の変更は誰でもできるのか?」

「いえ。それはシステム側で管理しているので、誰でもはできません……」
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