成瀬課長はヒミツにしたい
 真理子と成瀬は準備が終わり、ダイニングテーブルでコーヒーを飲んでいた。

 しばらくすると、リビングに社長が戻って来る。


「もう。乃菜ちゃんと一緒に、寝ちゃったのかと思ってました」

 目元を赤くして、髪が乱れた社長の姿に、真理子はくすくすと笑い声を立てる。

「ごめんごめん。うたた寝しちゃって」

 社長は照れ笑いを浮かべると、乱れた髪を直すように手を当てながら、二人の向かいに腰かける。

 成瀬はその様子に、不思議そうに首を傾げた。

「お前……どうし……」

 そして何か言おうとして、すぐに口をつぐんだ。


「どう? うまくできた?」

 社長は、隣同士に座る真理子と成瀬の様子をチラッとうかがう。

「ばっちりです」

 真理子は笑顔で、プリントアウトしたばかりのポストカードを差し出した。
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