成瀬課長はヒミツにしたい
 ――ここ最近、気が休まる暇がなかったもんね。


 真理子は、安心しきった成瀬の寝顔にキスすると、そのままぎゅっと抱きしめたのだ。



 真理子は、可愛らしい成瀬の寝顔を思い出してぽっと頬を赤らめた。

 クール王子でも、家政婦でも、甘い顔でもない。

 また一つ、成瀬の新しい顔を見つけてしまった。


「ダメダメ。私、今仕事中だから……」

 真理子は慌てて気持ちを切り替えるように、頬をパンパンと軽く叩く。

 そのまま社長室の棚に向かうと、中から古いファイルを数冊取り出した。

 ファイルにはスクラップブックも挟まっており、先代の時代からのサワイの紹介記事などが、丁寧に貼り付けられている。


 真理子は、黄色く変色した紙をパラパラとめくりながら、ある記事ではたと手を止めた。

 それは、様々な業種の社長が自分の事業に対する想いなどを語るインタビュー記事で、先代のインタビューと共にサワイの社歴が紹介されているものだった。
< 325 / 413 >

この作品をシェア

pagetop