成瀬課長はヒミツにしたい
~3~

「では社長、明日は夕方に商談が一件で……」

 小宮山の話を聞きながら、明彦は首を伸ばしてマンションのエントランスを覗き込んだ。

 今日は午後の外出の後、そのまま乃菜のお迎えに行き、小宮山にマンションまで送ってもらった。


 今乃菜は、エントランスに飾ってある熱帯魚の水槽の前に座ると、ランドセルから取り出した本を読んでいる。

 ここ最近、乃菜は以前に増してしっかりとしてきて、大人びた発言もするようになっていた。


 ――やっぱりこの先、父親との二人暮らしじゃ、難しい年齢になってきたのかな。


 明彦はため息をつくと、小宮山の声に軽く相槌を打った。


「では、私はこれで。乃菜ちゃんも、さようなら」

 小宮山は明彦に一礼すると、乃菜に手を振りながらエントランスを抜けて行く。

「小宮山さん。さようなら」

 乃菜は大きく手を振ると、ランドセルに本をしまい、スキップしながらこちらにやって来た。


「パパ、今日のごはんは?」

「うーん。どうしようかぁ。そう言えば、柊馬がカレーを冷凍しておいたって言ってたな」
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