成瀬課長はヒミツにしたい
 真理子は紙を覗き込んだ瞬間、全身の血の気がサッと引いていくのを感じる。


 ――あの写真だ……。


 そこには、パークで橋本に取られた写真と共に、大きな文字が躍っている。


“クール王子 成瀬課長が社内不倫?!”

“手を出した女性社員に、子供の面倒まで?!”


 そこには、成瀬が妻子持ちであることを会社に隠していた上、不倫しているという内容が、スキャンダラスに書かれていた。


「こんな書き方するなんて……ひどすぎる」

 真理子は思わず口元を手で覆う。


「ここに書かれていることは、全てデタラメです。事実ではありません」

 成瀬は紙を手に取り内容を確認すると、再度専務の元へと戻して言った。

「ほう。どこが事実と違うと言うのかね?」

 専務はいやらしく口元を引き上げている。


「まず、私は妻子持ちではありません。この子は、友人の子供です。水木さんとも、ここに書かれているような関係ではなく、手伝いをお願いしただけです」
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