成瀬課長はヒミツにしたい
 真理子はわかってはいるものの、成瀬の言葉に少しだけ胸がチクっとする。


 ――そういう関係じゃないって、くぎを刺されたみたいな気分……。


 専務は「そうか、そうか」とわざとらしく声を上げると、大きくうなずいた。

「友人の子供を遊びに連れて行っていたのか。それは感心なことだ。ご友人もさぞかし感謝されているだろうねぇ。それにしても、随分と親しげじゃないか。この写真はまるで家族だよ」

 専務はじろっと、威圧的な目で成瀬の顔を見上げる。


「よほど親しい関係の、友人なんだろうね」

 専務の言葉に、成瀬の耳がピクリと動いた。

「それはプライベートなことですので、お答えする必要はないかと」

 あくまで冷静に答える成瀬に、専務は笑い声を立てる。


「ただね、成瀬くん。ここに書かれた内容が事実でなかったとしても、こんな週刊誌の見出しのようなものが、社内にバラまかれたとあってはね。こちらも捨て置けんのだよ」
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