俺、チョコはいらない。
橙也の真っ直ぐな言葉に、胸がじんとする。
「ありがとう。それじゃあ、一緒に帰ってくれる?」
「ああ」
私は、橙也の言葉に甘えることにした。
だって、『舞衣のこと放っておけるわけねぇだろ』なんて言われたら、嬉しくって。
それ以上断ることはできないから。
橙也は、やっぱり優しいね。
私は橙也とひとつの傘に入り、並んで歩く。
でもまさか、橙也と相合傘することになるなんて思ってもみなかった。
せまい傘の中で、ふたりきりっていうのは初めてで緊張するなぁ。
「……」
「……」
私たちはどちらも話すことなく、しばらく無言で歩く。
バレンタインに橙也にチョコを渡して、告白するって決めてたのに。
『チョコはいらない』って言ってるのを聞いてしまったせいで、未だに告白できていない。
このままだと、あと数分で家に着いてしまう。
バレンタインデーも、少しずつ終わりに向かっていってる。
バレンタイン前から何度も練習して、橙也への想いを込めて、一生懸命チョコレートケーキを作ったのに……。
このまま渡さなくても良いの?
私……何も伝えないままで、本当にいいの?