俺、チョコはいらない。
そんなの……良いわけがない。
私は、手作りチョコの入った紙袋を握りしめる。
橙也に、チョコを受け取ってもらえなくたって良い。
一番大事なのは、彼に自分の想いを伝えるということだ。
このまま何もせず家に帰ってしまったら、私はきっと後悔するだろう。
だったら、後悔しないために……いま勇気を出すんだ。
「すぅ……はぁ」
私は、深呼吸すると。
「ねぇ、橙也……!」
隣を歩く橙也に、思い切って声をかけた。
「なに?」
「橙也に、大事な話があるんだ」
橙也にじっと見られたら、ドキドキするけれど。
言うんだ、舞衣。
「あのね、私……ずっと橙也のことが好きだったの。良かったら、これ受け取ってくれる?」
私は、チョコレートケーキの入った紙袋を橙也に渡した。
「もしかしてこれ、バレンタインチョコ?」
「うん。橙也のために作ったの」
「舞衣。俺、バレンタインチョコは……」