あなたと私の恋の行方
緊張感が漂う中、ふいに会議室のドアがノックされた。
「どうぞ」
なぜか、佐野部長が招き入れている。
するとドアを開けて、森田社外取締役の秘書が顔を出した。
「取締役に面会を求めておられます」
「今、大事な会議中なんだが」
「でも」
どういうわけか、秘書がかなり狼狽えている。
「誰も会議室に入れないようにと言っておいただろう」
森田社外取締役は、かなりイラついた声で秘書に文句を言っている。
入り口から声がすると、会議室の中の空気がいっきに揺らいだ。
「失礼するよ」
中に泰然と入ってきたのは大河内三舟、私の祖父であり、この会社の社長だ。
「大河内社長、今日はいかがなさいました?」
部長が慌てて席を立ち、走り寄ろうとした。
「いや、そのままでどうぞ。座ったままで結構」
「な、なにか急なご用でもございましたでしょうか」
冷や汗をかいているのか、営業部長の顔色が青くなっている。
「ええ。私の大事な孫娘が謂れなき罪に問われていると連絡があってね」
「はあ?」
事情を知らない会議室の中の一部の人が、不可解な顔をしている。
「この子、西下由香は私の孫娘だ」
祖父が私を指差した。四年間も秘密にしてきたことが、あっけなく暴露されてしまった。
「え?」
「大河内社長、今さら公表しなくても」
千也君の目は『大人げない』と言っている。
営業部長は、言い訳に必死だ。
「謂れのない……その通りでございます。西下由香さんに非はございません」
「では、手違いがあった…ということだね」
「はいっ。勿論でございます」
森田社外取締役は無言のまま新川課長を睨んでいるし、佐野部長と小谷さんなんだかは笑いを堪えているようだ。