婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「まぁ。寂しいだなんて! ジェフェリーがいるでしょう?」


「殿下ですか?」


「ジェフェリーがセリーナの寂しい気持ちを補ってくれるでしょう?」


「……王妃様? 仰る意味が分かりかねますわ」


 寂しい気持ちを補う? 殿下はいつも忙しそうでお話をするタイミングもありませんのに。個人的な事で迷惑をお掛けするわけにはいけませんね。


「あの子は何をしているの!」

 はぁっ。とため息を吐き王妃様は頭を押さえました。先ほどのお父様とのやり取りをもう一度したような気がします。


「殿下はお忙しい方ですから」


「……セリーナ、早まらないでね」


 王妃様の仰る意味が分からなくて首を傾げてしまいました。早まる? とは一体?

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