婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

ジェフェリー


「な! なんて事だ! セリーナが私との婚約を解消したいと……」


 青褪めるジェフリーに側近が言う。


「あーあー。やはりセリーナ嬢は殿下に嫌われていると思われているのではないですか? 私が女性ならそう思ってしまいますよ」


「母上からも手紙が来た……母上は私がどれだけセリーナの事を思っているか知っているだろうに!」


 母に会うたびにセリーナの話題になり、どれだけ尊い存在かと言う事を熱く語っているのに!


「殿下の周りでその熱い気持ちを知らないのはセリーナ嬢くらいではないですか?」


 みんな知っているのに、セリーナに伝わっていない……自分で言うからと口止めをしたせいか?!


「セリーナに渡すデビューのドレスは出来上がっているか?」


「はい。もうすぐ出来ますよ。注文していた茶器もそろそろ届きますからご安心を」

 新しい茶器でセリーナを改めて誘う。人が使った茶器なんてセリーナに出せない。まずはセリーナに出してからじゃないと他の人には使わせない。それが私のマイルールだ!
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