私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
俺の嫁さんになって?
蒼志が、星那を迎えに屋敷に来た。

「━━━━行ってきます!」
微笑み言って、蒼志の手を握った。

河冨は、ただ……星那が出ていった玄関の扉を見つめて立ち尽くしていた。


「とりあえず、荷物を俺ん家に置いてデートしよ?」
さりげなく星那の荷物を持ち、微笑んだ蒼志。
「うん!」
星那も、嬉しそうに蒼志を見上げた。

「………幸せだな!」
「ん?」

「今日は、ずっと一緒にいれるから!」
「うん!バイバイってしなくていいもんね!
明日もね!
夕食前じゃなくて、夜の9時までいいよってパパとママが許可してくれたの~」

「マジか!?
やった!
ヤバ…嬉しい~!」
微笑み見上げる星那に、蒼志も微笑み返す。



「━━━━━どこ行こうか?
せっかくだから、ちょっと足を伸ばして隣町とか行っちゃう?
公共機関を使って、デートってのも楽しいよ?」

いつもは、河冨の運転する車移動の二人。

公共機関を使うことは、特別な感じがするのだ。

バスに乗り、ゆっくり揺られながら外の景色を眺める。
それだけでも、とても幸せな気持ちになっていた。


「星那、次のバス停で降りてここに行ってみよ?
お洒落なカフェだって!」
スマホ画面を見せながら、言った蒼志。
星那は、微笑み頷いた。


「あ!星那、この先に小さな動物園があるみたいだぞ!
そこは、小動物を触れるみたいだ。
星那、好きだろ?」


「おっ!もう少し行くと、隠れカレー店だって!
行こうぜ!
星那、カレー好きだもんなぁ~!」


蒼志は、スマホで調べては星那を色んな所へ連れて行く。
全て━━━━━星那が好きな所だ。



「━━━━━あーくん!」

「ん?ほら、もう少しで着くよ?雑貨店!
そこも“星”をモチーフにしてるみたいだし!
星那、きっと気にいるぞ?」

「う、うん。
でも、あの……」

「ん?
もしかして、疲れた?
ごめん、連れ回し過ぎかな?」

「そんなことないよ!
でも、あーくんはないの?
行きたいとこ」

「うーん…星那に喜んでほしいって感じだしな!」

「私は……あーくんといれるだけで、嬉しいよ?
こんな風に、手を繋いで歩くだけでも!
それに……バイバイしなくていいってのも、実は凄く幸せ!」

「ん。
そうだよな!
なんか……焦ってたかも?(笑)」

「ん?」
苦笑いの蒼志に、星那を首をかしげていた。
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