不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。








「あ、あの!律くん……っ」



身を乗り出すように律くんに声をかけた瞬間、お店の時計は12時を知らせる鐘の音を奏でた。


ゴーンゴーンッと低く、重たく、一定のリズムで。




「うん?」


「あ、あの、えっと律くん部活……の方は大丈夫ですか?時間とか、その、もう12時ですし」


「――うん。実は今も部活の真っ最中だよ」


「え?い、今!?」


「そう、今まさに。しかも俺ね、超重要な任務を遂行中なの」


「超、重要な任務?えっと、どういうことですか?」


「キャプテン命令だよ。……って言っても推薦したのは俺なんだけど」




律くんはカゴの中に選んだモノ全てを入れて、そして私に「ハイこれ」と言ってソレを持たせる。


彼の言っていることがいまいち理解できないまま、それでも言葉を続ける律くんに耳を傾けた。







そして、言う。


「伊都ちゃんさ、バスケ部の臨時マネージャーやってくれない?」と。




< 121 / 259 >

この作品をシェア

pagetop