不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。
「あ、あの!律くん……っ」
身を乗り出すように律くんに声をかけた瞬間、お店の時計は12時を知らせる鐘の音を奏でた。
ゴーンゴーンッと低く、重たく、一定のリズムで。
「うん?」
「あ、あの、えっと律くん部活……の方は大丈夫ですか?時間とか、その、もう12時ですし」
「――うん。実は今も部活の真っ最中だよ」
「え?い、今!?」
「そう、今まさに。しかも俺ね、超重要な任務を遂行中なの」
「超、重要な任務?えっと、どういうことですか?」
「キャプテン命令だよ。……って言っても推薦したのは俺なんだけど」
律くんはカゴの中に選んだモノ全てを入れて、そして私に「ハイこれ」と言ってソレを持たせる。
彼の言っていることがいまいち理解できないまま、それでも言葉を続ける律くんに耳を傾けた。
そして、言う。
「伊都ちゃんさ、バスケ部の臨時マネージャーやってくれない?」と。