不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。







それから夕夏さんはとても分かりやすく、丁寧に仕事内容を教えてくれた。


練習が始まるまでに得点表とゴールを前に出しておくこと、床をモップで拭いておくこと、ドリンクの準備にタオルの用意のことまで細かく、全て。




今日は夕夏さん1人だと言っていたし、この作業を第2、第3体育館でやり繰りするのは相当大変だと思うから、私も張り切って彼女のサポートをしなければと腕を捲ったとき。






「ねぇ」


「は、はい!」


「あのさ。強引に律が誘っておいて南野さんにこんなこと言うのもアレなんだけど、お遊びで入って来たならやめてね?」


「え?」


「あたしらさ、正直今年のウィンターカップは特に厳しい戦いになると思うの。キャプテンも律も普通に笑ったり喋ったりしているけど、本当はきっと余裕ないと思うんだよね」


「……」


「だから生半可な気持ちでやるなら……」


「が、頑張ります!」


「……」


「あの、律くんに誘われたことは事実です。でもやるって決めたのは私なので、えっと、だから初心者ですけどしっかり夕夏さんのサポートができるように努めますね」





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