不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。









夕夏さんはとても笑顔の素敵な人だなと思う。


それに加えて誰とでもハキハキと意見を述べるところや、こうして堂々としているところも時々眩しく感じるくらいに羨ましいとさえ思う。



私もあと1歩、どこか前に進むことができたなら――。







「じゃあ伊都ちゃん、これから先はこの夕夏先生に教わってね。部のことなら何でも知ってると思うから」


「ちょっと!勝手にハードル上げるんじゃないわよ!」


「アハハッ。じゃあ伊都ちゃん、頑張ってね」


「はい!律くんも」




律くんは最後に「夕夏、この子のことよろしくね」と言って、夕夏さんが手に持っていた磨いたばかりのボールを意地悪く笑いながら奪って去って行く。


2人きりになったこの空間、顔を赤く染めていたのは夕夏さんだった。








それを見た私が「ん?」と違和感を覚えたのは、このときがきっと……初めて。



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