❤️お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない

「そうか、葉月さんだったな」

「はい」

葉月は声を震わせて答えた。

「極道の妻になる覚悟はあるのかな」

「覚悟と言うか、冨樫さんと離れてみて、わかったんです、手が触れるほどの距離にいて欲しいと……」

「そうか」

「雅也、葉月さんは堅気のお嬢さんだ、妻に迎えるなら、それなりの覚悟はあるんだろうな」

冨樫は真っ直ぐに組長をみて答えた。

「命がけで守ります」

冨樫と葉月は屋敷を後にした。

車でマンションに戻ると、冨樫は葉月の手を握り、ポケットから小さな箱を出した。

「葉月、一生俺についてきてくれ」

箱を開けると、指輪が入っていた。

葉月は嬉しくて、泣きながら「はい」と答えた。

冨樫は葉月の頬の涙を拭って抱きしめた。
そんな幸せは続くことはなかった。

葉月に執着する山辺は、極道には極道だと、金にものを言わせて、

西沢組若頭、西沢守に葉月を自分の元に連れてくるように依頼した。

西沢組は金のためならなんでもやる。

特に守は血も涙もない、極悪非道のヤクザだ。

< 89 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop