キミの空に虹を!
「だっ、ダメだよ!食べちゃ!」

(お姉さんのお店のものでしょ!?)

私は離れたばっかりなのに、次は慌てて近づいて止める。

(忙し過ぎるよ!)

すると、この言葉に男の子の空気が、ピンッと張り詰めたのが分かった。

(…!)

「お前に何が分かるんだよ。俺達のことなんて知らねーくせに!」

「なっ…。」

出会ったときより、鋭く怖い瞳がぶつかりあう。

男の子の瞳も私の顔をしっかりと捉えている。でも…

「なんでそんな顔で見るの?」

「…えっ。」

せつなそうで、愛しそうで、誰かを私と重ねている。そんな顔。

何か、この盗みには意味があるんだ。

「なんで、盗みをするの?」

「別に…。」

男の子はあからさまに動揺し、顔を背ける。

「私はあなたのことは分かんないよ。でも、"俺達"ってことは誰か関係してるんだよね?」

「…。」

私が言うと、男の子は顔を歪めてうなだれる。

まるで、「そうだ。」と肯定するように。

「なんで、盗みを犯すの?」

(…お願い、私はただ知りたいんだ。)

目をしっかり見て、私は意志を伝える。

と、誤魔化しきれないと折れたのか。苦しげな言葉で男の子はポツリと話し始めた。

「俺、妹がいんの。」
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