月下の逢瀬
「……文化祭の時、あんたが真緒のことを女として見ているような気がした。
あれ、見間違いじゃないようだな」
「正解。ま、気付いてもらおうと思ってやってたからね。
で、それを知ってどうする? 椎名が自分のものだとでも言うのか?」
片桐は近くにあった椅子を引き、座った。
背もたれに体を預けて、俺を見上げる。
その表情は教師のそれではなかった。
「椎名が妊娠したと宮本に言ってから、ずっと久世についているよな? それは、お前が椎名ではなく、久世を選んでるってことだろう。
椎名も、そのお腹に宿る子も、お前はすでに捨ててるんだよ」
「……事情もわからずに、勝手なこと言ってんじゃねェよ」
「事情って、久世の家庭環境か?
それとも背中の傷?
いや、久世の体のことか?」
さらりと答える片桐に、息を飲んだ。
こいつ、玲奈の体のことを知ってる……?
玲奈の両親が口を堅く閉ざしている秘密を?
「驚いてる? 椎名から聞いたんだよ。ロキタンスキー症候群ってどんな病気なの?って。
家庭に問題があるようだと聞いていたが……久世にはそんな事情があったんだな……」
最後の言葉はぽつりと呟いて。
片桐はため息を一つついた。
あれ、見間違いじゃないようだな」
「正解。ま、気付いてもらおうと思ってやってたからね。
で、それを知ってどうする? 椎名が自分のものだとでも言うのか?」
片桐は近くにあった椅子を引き、座った。
背もたれに体を預けて、俺を見上げる。
その表情は教師のそれではなかった。
「椎名が妊娠したと宮本に言ってから、ずっと久世についているよな? それは、お前が椎名ではなく、久世を選んでるってことだろう。
椎名も、そのお腹に宿る子も、お前はすでに捨ててるんだよ」
「……事情もわからずに、勝手なこと言ってんじゃねェよ」
「事情って、久世の家庭環境か?
それとも背中の傷?
いや、久世の体のことか?」
さらりと答える片桐に、息を飲んだ。
こいつ、玲奈の体のことを知ってる……?
玲奈の両親が口を堅く閉ざしている秘密を?
「驚いてる? 椎名から聞いたんだよ。ロキタンスキー症候群ってどんな病気なの?って。
家庭に問題があるようだと聞いていたが……久世にはそんな事情があったんだな……」
最後の言葉はぽつりと呟いて。
片桐はため息を一つついた。