月下の逢瀬
あたしのつわりが落ち着くのを待って、すぐに引っ越し準備にとりかかった。
慌ただしい日々を過ごしながら、用意を済ませて。

そして昨日、入籍した。


『手、出して』


届けが受理されたあと、晃貴はあたしの手をとり、薬指に指輪をはめた。
きらきらと輝くダイヤのリング。


『え!? これ……』


『結婚式、しばらくはできそうもないだろ?
せめてコレだけでも』


『ありが……と』


馴れない指輪の感覚に照れ臭さを感じて、もごもごとお礼を言った。


『じゃあ、これからよろしく。真緒』


『よろしく、先……晃貴さん』


呼び間違えそうになって、慌てて訂正するあたしに、晃貴は愉快そうに肩を揺らして笑った。


一緒に笑いながら、思った。
これでいい。
こうして笑いあう日々を繰り返していけばいい。
この先にきっと、幸せがある。



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