月下の逢瀬
「あ。これ、結構面白いやつ。エッセイなんだけど」
ぴたりと指先がとまり、本を抜き取った。
はい、これ、と渡される。
「この作家の本は、読んだことないな。歴史小説の人でしょ?」
「そうそう。歴史小説は苦手?」
「ちょっとだけ。戦国時代が苦手なんです」
「そかそか」
あたしの手の本を本棚に戻し、再び背表紙を辿る。
何か、学校で話すよりもくだけた感じだなあ。
今はプライベートだし、校内と違っても当たり前なのかもしれないけど。
不思議な気持ちで横顔を見上げた。
「ん? どうした」
「いえ別に。先生、本お好きなんですね」
「ああ。椎名も好きなんだろ? このシリーズなんて、結構渋いセレクトだ」
あたしにちらりと顔を向けた先生が、手にした本を軽く振った。
ぴたりと指先がとまり、本を抜き取った。
はい、これ、と渡される。
「この作家の本は、読んだことないな。歴史小説の人でしょ?」
「そうそう。歴史小説は苦手?」
「ちょっとだけ。戦国時代が苦手なんです」
「そかそか」
あたしの手の本を本棚に戻し、再び背表紙を辿る。
何か、学校で話すよりもくだけた感じだなあ。
今はプライベートだし、校内と違っても当たり前なのかもしれないけど。
不思議な気持ちで横顔を見上げた。
「ん? どうした」
「いえ別に。先生、本お好きなんですね」
「ああ。椎名も好きなんだろ? このシリーズなんて、結構渋いセレクトだ」
あたしにちらりと顔を向けた先生が、手にした本を軽く振った。