月下の逢瀬
理玖と玲奈さんの間には、傷という繋がりがあるというのなら。

理玖はその為だけにそばにいるのだろうか?


結局、残された疑問。


けれど、あたしには確認のしようもない。
何より、何もできないあたしなのに、確認だけしてどうしようと言うの。



ふ、と見た二人は、仲がよさそうだった。理玖は、穏やかに笑っていた。


あの笑顔が向けられるのがあたしなら。


ううん、そんな虚しいこと考えるのはよそう。
理玖が、どんな理由であれ玲奈さんを選んだのなら、それは仕方のないこと。


二人から視線を逸らして、あたしはまた泣きそうになった顔を窓へ向けた。



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