【番外編】副社長の一目惚れフィアンセ ~詩織の物語~
――コンコン
ノックの音がして、ドアの向こうから顔を覗かせたのは明里だった。
「お姉ちゃん、この問題教えて」
「うん、いいよ。おいで」
ソファに腰を下ろすと、明里はなぜかプリントを持ったまま、座らずにじっとこちらを見ている。
「明里?」
「…お姉ちゃん、なんで泣いてるの?」
ドキッとした。
メッセージを書きながら泣きそうになっていたから、目が赤いのかもしれない。
「漫画読んでたの。そしたらちょっと悲しいシーンがあってね」
笑って言い訳してみたけど、明里はなぜか曇った顔のままだ。
「…あのね、私、お姉ちゃんのことが一番好きだよ」
「ん?」
「お姉ちゃんに幸せになってほしいよ。
だからね、ナオのことりゃくだつするって言ったけど、しないよ。
大丈夫だよ」
「……私が直斗を略奪されるのを心配して泣いてると思ったの?」
明里はコクンと頷く。
思わず吹き出して笑った。
明里はなんで笑われているのかわからないようで、訝し気に首を傾げる。