愛よりもお金が大事。
「冬野、酔ってる?
今夜、いつもより飲んでたもんね?」


二人っきりは今夜が初めてだけど、冬野とは何度もお酒の席を共にしている。
今夜の冬野は、かなり飲んでいた。


「だよな。
酔わないと、こんな事言い出す勇気が出ないから」


「え、なに、一体、なんで?」


私の方は、酔いが醒めるくらい戸惑っている。


「俺は、ずっと夏村の事が好きだった」


タイプの顔にそう告白されて、今の私は今までの人生の中で一番ドキドキとしている。
息をするのさえも、苦しいくらい。


「…で、でも、ずっととか言うけど、一年前に、派遣の事務で来てた若い女の子と冬野ちょっと付き合ってたじゃない。
それに、それに…」


冬野と出会ってから、この人には何人か彼女が居た事を私は知っている。


「俺だって、脈がない事分かってて、夏村に告白する程無謀じゃない。
だって、同じ職場で毎日顔合わすのに、フラれてギクシャクしたくなかった。
だから、他の女に目を向けたりしたけど」


「けど、なんで急に?」


何故急に、冬野は私に告白しようなんて思ったのか?


「お前、やっと付き合ってた男と別れて。
また他の男と付き合い出す前に、なんとかしないとって。
とにかく、俺の気持ちを伝えないと何も変わらないだろ?
もう二度と、他の男と付き合ってる夏村を見るのが、嫌なんだよ」


私にも、それなりには過去に彼氏が居て。
ただ、社会人になってから付き合ったのは、その彼氏だけ。
なので、冬野と出会ってから付き合ったのも、そう。

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