愛よりもお金が大事。
「…そっか。
冬野は泊まって行くのか。
そっか」


帰る方向の電車が同じだから、一緒に帰るつもりだったのに。
なんか、急に一人で寂しいな。


「夏村、お前もいい歳なんだから分かれよ?」


そう言って、細めた色っぽい目で見詰められて、急に心臓の鼓動が早くなった。


え、いや、まさか…。


「売り上げの勝負、勝ったの俺だよな?」


冬野が求めるのは、今夜の食事代なんかではなく、私の体…。


「けど、なんで?
だって、私達そんな感じじゃないでしょ?」


「じゃあ、どんな感じなんだよ?」


「どんな…。
ほら、気の合う同期?
私達、けっこう仲良しだよね?」


「だよな。
俺ら、仲良しだよな?」

そう一歩冬野がこちらに歩いて来るから、私が一歩下がると、背に壁が当たる。
これ以上下がれないのに、冬野は私を追い詰めるようにこちらに足をまた一歩進めた。


壁ドンされそうな至近距離。


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