愛よりもお金が大事。
「その様子だと、近藤聞いた?
俺と夏村の事」
その冬野の質問に美里は私をチラリと見たので、
認めてもいいよ、と頷いた。
「うん。花梨からさっき聞いたばかり」
「そ。まあ、そんな感じ。
俺も、もう押すしか出来ないって感じで。
必死に夏村の事、口説いてて。
フラれっぱなし」
本当に、以前はそんな素振りを微塵も見せなかった冬野なのに。
最近は、私に対しての好き好きオーラが凄い。
全開って感じ。
けど、そんな冬野の気持ちに周りはずっと前から気付いてたみたいだけど。
以前の冬野の私に対する態度の何処に、そんな要素があったのだろうか。
「私は、冬野と花梨お似合いだし上手く行けばいいのにって思うよ?」
「だよな?俺と夏村、凄く相性いいし。
あ、別にエロい意味で言ってないけど」
そんな冬野の言葉に、美里は笑っていて。
冬野も表情が柔らかくて。
先程迄の、気まずい雰囲気は無くなったけど、
さっきから私は会話に入れずポツンだし。
「まあ、実は、夏村に用があって。
席迄一緒にするつもりはなかったんだけど、この店に居たらいいな、と思って来た。
俺、午前中出てたから、お前の引き継ぎの店舗の事でちょっと聞きたくて。
昼からは、夏村はもう一課に引き継ぎで行くって前田課長から聞いたから」
「あ、じゃあ、私は先に戻って引き継ぎの準備しとくね」
そう言うのは美里で。
午後から、私が仕事の引き継ぎをして貰う相手は美里からだから。
「なんか二人の邪魔したみたいだから、ここは俺が全部出しておくから」
「冬野、ありがとう!
花梨の事なら、なんでも私に相談して」
そう言って席から立ち上がる美里に、ちょっとそれは辞めて、と思うけど。
美里と冬野は楽しそうに笑っていて、それは口に出さなかった。