愛よりもお金が大事。
「ごめんごめん。
それにしても、浅村会長、夏村さんの事気に入ってたね?
良かったね?」


「え、あ、はい」


大企業のあけぼし商事の浅村会長に気に入られる事は、それはとてもありがたい事だけど。
岡崎社長が意味深にニヤニヤしているのが、気になる。


浅村会長は私からしたらお祖父さんのような歳で。
決してないとは言えないけど、そんな感じではないと思うけど。
そんなに感じとは、女性としてという意味。



「岡崎社長。
車取って来ます」


そう言う高田君に。


「高田、そのまま一人で帰っちゃって、いいよ」


岡崎社長は、そう返している。


「え?ですが…その…」


「うちの美人営業の夏村さんと、ちょっと二人でお話ししたいだけ」


「…分かりました」


高田君は岡崎社長に頭を下げて、離れて行く。


いや、二人で勝手に決めて、当事者の私の意見は一切無視なのだろうか?


「夏村さん、ちゃんと帰りはタクシー呼ぶし、無理矢理どこかに連れ込んだりしないから」


岡崎社長はそう笑っていて、釣られたように私も笑みを返すけど。
岡崎社長の目の奥が、笑っていなくて。


「それにしても、冬野君の次は、高田?
夏村さんは同期キラー?」


「え、いや…、え?」


岡崎社長の言葉に動揺し過ぎて。
何処から否定したらいいのか分からない。


でも、高田君の件は、今さっき、私が物欲しそうに彼を見ていたのを目撃されたのだろう。


冬野の件は…。


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