愛よりもお金が大事。
「なるほど。
まあ、冬野君の年収の額面は夏村さんとさほど差はないだろうね?」


「はい。扶養手当や扶養控除がある分、手取りは私の方がいいだろうし」


母親と双子の弟と妹を、私の扶養に入れている。
うちの会社は扶養手当が手厚く付く。


「そっか。夏村さんは、そうやって一家の大黒柱なんだ?
そうやって養わないといけない家族が居るから、それで、相手にその辺りを求めるんだ?」


改めてそう問われると、恥ずかしい。
自分でも、その考えが馬鹿らしいと思っているからかもしれない。
馬鹿らしいけど、私は本気。



「じゃあ、俺なんか夏村さんの理想にピッタリ!
夏村さんの家族事養って贅沢させてあげれるくらいの甲斐性はあるから」


あ、と思い付いたように、岡崎社長はそう口にするけど。


私は、いや、それは、と落ち着かない。


「流石に、岡崎社長を狙おうとか、そんなおこがましい事は思わないです!」


この人は、私の何倍も稼いでいるだろう。
いや、何十倍?


「俺から言わせると、俺は条件が良すぎてダメで、冬野君は条件に満たなくてダメで、高田ならちょうどいいとか、そんな風に男を選んでる夏村さんのその考えが、おこがましいと思うけど」


なんだか、その言葉にぐうの音も出ない。
岡崎社長の言う通り。
私は一体何様なのだろうか。


「あ、酷い事言ったけど、怒って会社辞めたりしないでね?」


「あ、はい」


逆に、岡崎社長を怒らせたのかと思ったけど。


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