愛よりもお金が大事。
この部屋は、32階で。


同じ目線のビルもちらほら目に入るが、大体の建物は見下ろす感じで。
そのネオンがとても綺麗。


「思うんだけど、冬野君なら、というか。
冬野君と夏村さんとの二馬力なら、なんとかならない?
例えば、冬野君と結婚して、夏村さんの家で同居したら家賃もいらないし。
まあ、同居の件もそうだけど、夏村さんが弟や妹達の学費を出す事に、冬野君がオッケーすればだけど」


岡崎社長の言う事は、そうなのだけど。


私が思う冬野は、もし、私がそうお願いしたら、それを聞き入れてくれるだろう。
同居も、弟と妹の大学費用を出す事も。
それに、私と冬野は、他の同世代にしては、稼いでいる方だとは思う。


だから、本当は、無理なわけじゃない。



「タクシーに乗る前に、岡崎社長がおっしゃった通りです。
私にお金目当てで結婚される相手の男性が、可哀想だって」


「いや、冬野君の場合は、夏村さんも好きだから…、あっ、そっか」


岡崎社長は、私の言いたい事を細かく説明しなくても、そうやって分かってくれる。



「冬野の事本当に好きだから。
私みたいな負担の多い女じゃなくて、もっと良い相手が居ると思うんです。
冬野の事が本当に好きだから、私じゃダメなんです」


冬野が私と結婚しても、金銭面でもそうだけど、私の家族の事とかで、迷惑を掛けるかもしれない。


それに、私は結婚しても仕事を休む余裕なんてないから、子供を産まないつもりだし。
よく冬野がお姉さんの子供達を可愛がっている話を本人から聞いていて、冬野は子供が好きみたいだし…。


冬野は、私じゃダメだ。



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