麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
その15
ケイコ



「おい!何振りかえってんだよ?ハハハ…!淡い期待してんじゃねーっての。結局、愛しの王子さま頼りなの?ざけんなって、おー!」

テツヤは来ない…、いや、来れない…

私は咄嗟に悟ったさ

へへ…、いいよ、別に

こうなりゃ、やってやる

私のこと、殺したいほど憎んでる皆さんが夜分忙しい中、参集だ

全部解決してやるって!

いっそここで…


...


「あのさ…、時間ないとかって言って、全然長げーっての!さっさと進行してくれよ。そんで、結局どーんなんだよ!やるんなら、やってやるぜ。腐れたイレブン、プラスワンでまとめて来いよ!」

「岩本さん、やってやりましょう!コイツ、半殺しにしてやんなきゃ、わかんないですよ!」

「そうよ!みんな一斉で、袋叩きにしちゃえ!」

「…」

来るわ…、奴ら…

はは…、私、震えてるわ…


...



「…真樹子先輩!まずいですよ!伝達役1からタイムアップってことです!」

「横田…!ここでやってもいいが、近くにポリ出没らしいわ。今日はこれまでにしてやる。まあ、お前もあの変態野郎の正体見て、少しは現実ってもん、わかっただろ。惨めなもんねえ、キャハハハ…」

「…」

フフフフ…

クスクス…

11人だか12人だかが、全員で私に蔑視を浴びせ嘲笑してるわ

「偉そうに、テツヤの彼女気取り晒しやがって!次は天誅だからな。紅丸も高原もいないんだよ、もうこの都県境にはな。何様のつもりだっての、この勘違い女が!いいか、今後の身の振り方、間違えるなよ!」

岩本真樹子は私へダメ押しの一言の後、地面にツバを吐いた

そういうことね…、要は

わかったさ、よーくね

「よし、みんな!今日はこれで退散だ!」

岩本の大きな声が夜の公園に響いたと同時に、女たちは私に背を向けて走って行った


...


アッという間にいなくなったわ、連中…

私は別に走らなかったよ

今さらだろが‥、クソ!

警察が来たら言ってやるよ

ご苦労様、おやすみなさいってね…

そうアホなことを頭に浮かべながら…、私は鉛のように重い足で公園を出た

そして、決して大きくない両目からは、大粒の涙がこぼれ落ちていたよ

夜のせいか、それは真っ黒の粒に見えた…





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