麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
その5
ケイコ



結局朝になっても、テツヤとの今後については、頭の中がまとまらなかった

日曜日には映画見るデートの約束してるし、それまでにちゃんと話ししなきゃいけないけど…

彼とのことはもう少し考えたい


...



朝食を何とかのどに通し、私は学校に向かった

私を気遣うお母さんは、玄関の外まで出てきて見送ってくれたよ

この感覚…、私が小学校に入学した頃を思い出す…


...



3時間目の授業中になったところで、どうも気分が悪くなった

ハアハア言いながら、机に顔を伏せると周りが気づいたらしい

誰かが先生に報告しくれてるみたいだ…

「大丈夫か、横田…。保健室で少し横になってた方がいいな。保健委員、連れてってやれ…」

結構しんどいし、ここはお言葉に甘えよう


...



「…軽い貧血みたいね。まあ、しばらくベッドで休んでなさい。あなたは、教室に帰っていいわ。先生にはそのように伝えて。ご苦労様」

「はい。じゃあ、おけい、休み時間に来るから。先生、お願いします」

私は保健委員のクラスメートにお礼を言って、ベッドに入った

「ああ、横田さん、私ちょっと席外さなきゃなんないんだけど、大丈夫かしら?」

「大丈夫です」

「そう…。何かあったら、その電話で職員室に内線して。もし誰か来たら、私は不在だから急用以外は休み時間に来るようにってね」

「はい」

養護の先生が保健室を出て行った後、しばらく横になっているとだいぶ楽になった

全く…、勝手に眠らないで、学校来てこのザマだ

何やってんだ、私…





ガラガラガラ…

「失礼しまーす」

しばらくしたら、誰かが入ってきた

「先生、いないみたいね…。どうする?」

「バンドエイドくらいいいでしょ。あるとこ知ってるから…」

「ちょっと…、まずいって。待ってようよ、少し」

「なら、そこ座って待ってるか…」

二人みたいだな、女子が…

どうしよう…

カーテンで私がいること、気付いてないみたいだけど

声かけた方がいいかな…


...



「ところでさ…、美奈子を外して夏の大会出るって1年、先週まで入院してたんでしょ。辞退してきたの?」

「ううん。ケガしたの足じゃないし、出れるみたいだよ」

「なに、それ!自分の不注意でケガしといて、普通辞退するでしょう?だいたいその横田とかって子、駅伝でちょっと活躍して、あの黒沼のプレイボーイと恋仲になったからって、図に乗ってるわ」

「佐和子、あの子はいい子よ。今回の件でも私にはちゃんと気を回してくれてたし、スジも通したわ」

「人がいいわね、美奈子は。あの1年、南玉連合に入るってもっぱらの噂よ。いい子ぶってるけど、不良よ。それも裏番タイプね。紅組の幹部とも親しくて、今回の揉め事だって幅を利かせてたらしいわよ。陸上部の元主将は南玉のナンバー2だったし、ひょっとしてそれで…」

「ちょっと、佐和子!いい加減にして。相川先輩がそんな特別扱いする訳ないでしょ。横田選手は駅伝でいいタイム出したし、私も納得してるの。もうやめて」

「うん、あなたがそう言うんならね…。でも、あの子、そのうち痛い目に合うわよ。高校入学早々から、あんなに目立ってやりまくってたら…」

「私は部活以外のこと、とやかく言いたくないんだ。ああ、もう行こうよ。血、止まっちゃったし」


...



二人は出て行ったわ

参った…

部の2年、牧田先輩だったし

私が中距離にシフトしたことで、夏の大会から外れちゃったんだよな、先輩…

私に対しては、先輩、ああ言ってくれてありがたかったけど…

お友達の方は、私のこと話したこともないのに、ボロクソだったわ

ハハ…、昨夜の連中のといい、見えないとこで私への反発、凄いことになってるよ

反論はあるけど、現実なんだよな

要は、そう受け止められる下地はあったってことなんだ






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