麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
その10
夏美



南部家を後にした私は、その足でケイコの家に向かった

あのケイコが部活を休んだくらいだ

この時間なら家にいる


...



それにしても…

今日のテツヤ君の告白には、凄まじいものがあったわ

”あの”岩本真樹子が、あからさまに”表”に現れてきた

相和会も堂々と動かしてる

中央公園でのケイコへの仕打ちには、テツヤ君絡み以外の動機であれだけの人数を結集させた

これは、あの”評判のよくない”先輩が関与していることを意味しているも同然だ

それと気になったのは…

中央公園にいた”彼女軍団”の中には、テツヤ君自身が名前すら承知していない女の子が数人含まれていたということだ

これって、どう捉えればいいんだろうか…


...



まず言えることは、今回のアクションは昨日、今日で出来上がったものではない

最低でも数週間の準備期間を要するスケールの大きさと、さらに綿密さがある

南部さんの言うように、ケイコを恨む連中を集めての制裁とかには収めていない

それは間違いない、もはや…


...



だが、それに対しては、これからやってやればいい

今の私たちには、ケイコとテツヤ君の純真な気持ちを支えることが先決だ

あの二人はこんなことで終わってはいけない

何が何でもこの難局を凌がせなきゃ…

ケイコ、それで、あの連中に見せてやりなさい

吐き気がするほどの汚い策略で、多くの人間を惑わしてるあの連中に…

それはイコール、”そいつら”に無力感を与えることになるのよ


...



ケイコとテツヤ君はあさっての日曜日、デートの約束を交わしていたらしい

一緒に映画を見て、食事して…

周りからすれば、何のことはないありきたりのデートだよ

でも、あの二人がこのありきたりの”その日”に漕ぎ着けるのに、どれほど苦しんできだか

いや、自分を苦しめてきたか…

私にはわかる

”まあ、いいや”で片つけることは簡単だよ

でも、明らかに”それ”が損とわかっていても、敢えて”そこ”に自分を持っていく

なぜなら、それは自分を失わないこと、そのものだからだ

私も南部さんとは、その葛藤で身を裂かれる思いをいやというほど味わったて来きた

だから、ケイコ…、南部テツヤとは別れちゃいけない

全うするのよ、二人のピュアな気持ちに従って…






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