あくまくんが愛してやまない。
「ねーえ、沢っち。雨の日はどっちも傘なんて持ってなくて、ふたりで家まで全力疾走したの覚えてる?」
「あたりめえだろ。おかげでずぶ濡れになって帰って、次の日俺だけが熱出して寝込むんだよ」
「ふふっ、沢っちは軟弱だもん。中学のときから変わってないね」
「……うるせえよ。そのせいで保志を阿久間に取られるとは思ってもなかったけどな」
「…………あはは、返答に困っちゃうよ」
「一生困っとけ」
昇降口に近づき、傘を開こうと片手を掲げる。
すると、すぐ前に、柱にもたれかかっている人影が見えた。
雨の影響で少し暗い視界で目を凝らす。
じっと見なくても、本当はだれかなんてわかってた。
でも、信じられなかったのだ。
……まさか、恭平くんがいるだなんて。