炎と花びら
「アン、朝ご飯はもうできていますし、警察署に着て行く服も用意できてます」

ノーマンがあくびをするアンにそう声をかけつつ、部屋のカーテンを開ける。一気に部屋に光が入り込み、アンは目を細めた。

「もうご飯も服の準備もできてるの?さすが私の助手!」

ニコリと笑い、アンはノーマンに抱き付く。ノーマンは「……普通の助手は、使用人じゃないんですからあなたの私生活まで面倒見ませんよ」と言いつつ、ベットメイキングをしていく。その手つきはまるで、一流ホテルの従業員のようだ。

ノーマンからはふわりとタバコの香りが漂ってくる。ノーマンはベビースモーカーで、一日に一箱分を吸うほどだ。その香りをアンは犬のように嗅ぐ。

「ちょっと、何ですか!犬みたいなことをして!」

くすぐったそうに笑うノーマンに対し、アンは心配げな表情で言った。

「……ノーマン、あなたまたタバコ変えた?二週間前とタバコの香りが違う。もっとキツいやつに変わってる」
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