春色の屍 【完】
春色の屍
恋をしていた。
鈍器で殴られ、そのうえ稲妻が直撃するような、恋をしていた。


ひりついた胸。
絶え間なくこぼれる涙。
二つ並んだコップの底の水たまり。

先輩のマフラーは哀しいくらい、あたたかかった。



くらくらする糖蜜のようなやさしさに抱かれながら。
ひりひりする痛みを抱えながら。


高校生の私は、恋をしていた。
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