三毛子さん
三毛子さんの本当の名前は美海子さんというのだけれども、その優美な物腰と、しなしなとした歩き方や、音もさせず近づいてきて、気がついた時には抱きしめられる程に側に居る無防備さや、大きなアーモンド型の眼や、時々あらぬ方向に視線をやって何かをじっと見つめている様や、笑ったときの口元が猫のひげパッドと言われる部分(通称ふぐふぐ。数字の3がコテンと倒れたみたいなカタチのあそこ)みたく、『にゃあ』となる表情はまさに猫のソレだったので美海子さんを三毛子さんと呼ぶ事に誰も異存は無いのであった。
そんな三毛子さんのプライベートは謎に包まれている。
勿論、僕を含め会社の男どもは……いや、女性たちですら彼女の休日の過ごし方や趣味など気になって仕方が無かったが、何となくずっと聞きそびれていた。多くを語らない彼女に余計な事を聞いて嫌われたくなかったから。
だから、社内の有志で企画された県内にある山へ紅葉狩りに行くイベントの参加者一覧に三毛子さんの名前を見つけた時、僕は大層驚き、大いに喜んだものだった。
そんな三毛子さんのプライベートは謎に包まれている。
勿論、僕を含め会社の男どもは……いや、女性たちですら彼女の休日の過ごし方や趣味など気になって仕方が無かったが、何となくずっと聞きそびれていた。多くを語らない彼女に余計な事を聞いて嫌われたくなかったから。
だから、社内の有志で企画された県内にある山へ紅葉狩りに行くイベントの参加者一覧に三毛子さんの名前を見つけた時、僕は大層驚き、大いに喜んだものだった。
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