虹色の愛
出会いと再会
〇宿舎雅3号棟・入口
外看板には「宿舎 雅 3号棟」と書かれている
糸とさくら、入口から中へ入る

〇3号棟・1階
糸、管理人室と書かれた部屋を開ける

糸「ここがさくらの部屋な。荷物置いとくよ」
さくら「ありがとう」

さくら、部屋を見渡す
糸、部屋から出る

糸「さくら、行くぞ」
さくら「あ、うん」

さくら、糸を追いかける

〇3号棟・地下・リビングルーム
糸とさくら、リビングルームに入ってくる
はじめ、ソファ席でダラダラしてる

糸「ここがリビングルーム。主に食事の時にみんな集まってくるとこ」

はじめ、起き上がる。2人に気づき、さくらに近寄る

はじめ「どうも、はじめまして!牧野はじめっていいます!はじめって呼んで?」
さくら「は、はい…空野です。よろしくお願いします。はじめ、さん…」

はじめ、さくらの手をとる。
さくら、圧倒される

糸「空野さん!」

糸、手招きをしてキッチンの方へさくらを呼ぶ
さくら、糸の元へかけよる

はじめ「うん、メガネっ子かわいい!」

リビングルームの扉が開く音がする
涼が入ってくる

はじめ「涼!新しいスタッフの人きたよ!今糸とキッチンにいる」
涼「あ、そう。コーヒーまだある?」
はじめ「あるよー、」

涼、コーヒーを入れる
さくらと糸、キッチンから出てくる
涼、さくらに気づく

糸「あ、涼。えっと、こちらバイトできた」
さくら(糸に続いて)「はじめまして、空野です。1ヶ月よろしくお願いします。」

さくら、涼に対して挨拶する

涼「どうも。植野涼です。」
糸「涼は、京都の医大に通ってるんだ」
さくら「うわぁ、凄いですね!」

さくら、尊敬の眼差しで涼を見る
涼、昔を思い出す

* * *
涼(10)、子供向けの怪我や病気の本を持っている
* * *

涼、眼鏡を指で少し持ち上げ顔を隠す

はじめ「勉強教えてもらうなら涼が1番だよ」
さくら「そうなんですか?高校の授業難しくなってきて…」
涼「基本は部屋にいるから、いつでも声掛けて」
さくら「ありがとうございます!」

はじめ、不思議そうに涼を見る

糸「さて、上の階も案内しようか」
さくら「うん」

さくらと糸、リビングルームを出ていく
はじめ、ソファでダラダラしはじめる
涼、立ったまま

涼「あのさ、はじめ…」
はじめ「んー?なにー」
涼「いや、なんでもない。」

涼、手を強く握る
はじめ、そっと涼を見ている
○宿舎雅・3号棟・1階と2階を繋ぐ階段
さくら、掃除機をかけている

* * *
糸「じゃあ、とりあえず宿舎全部掃除機かけて」
さくら「了解!」
* * *

さくら、鼻歌をうたいつつ掃除機をかけている
さくら(糸兄と一緒に1ヶ月過ごせるなんて、久々でほんと、これから楽しみだなぁ)

○宿舎雅・3号棟・2階
さくら、2階の廊下で掃除機をかけている
勢いよく部屋の扉が開く
さくら、驚いて掃除機を止める

一馬「糸!うるさいよ!寝れないじゃん!!…ってあれ?君誰?」
さくら「あ、今日からバイトでお世話になる空野です。寝ているところすみません!」

さくら、深々と頭を下げる
一馬、頭を下げてるさくらを起こす

一馬「ほんとに女の子だ。高校生?」

一馬、さくらをまじまじと見つめる

さくら、「はい…。あの…」
一馬「ああ、俺は立石一馬!よろしくね空野ちゃん!」
さくら「よろしくお願いします!」

糸、階段を上がってくる

糸「空野さん、掃除おわった?お、一馬。」
一馬「おはよー」
さくら「あと3階やれば終わりです。」
糸「じゃあ、それ終わったら買い出し付き合って。キッチンにいるから声掛けて。」
さくら「はいっ」
一馬「え、俺も行きたい!」
糸「別にいいけど…」
一馬「じゃあ、先にリビングルームにいるねー」

一馬、階段をおりていく
糸、軽くため息をつく

さくら「糸兄の友達っていい人ばかりだね」
糸「うん、まぁね。あ、あと2人いるんだけど夕方くらいには来ると思うから」
さくら「ふーん。」(なんだか、楽しみだなぁ。賑やかな夕飯になりそう)

さくら、ニコニコしてる
糸、さくらをみている

糸「さ、さくら?」
さくら「いや、いい人ばかりでなんだか楽しくなるなぁって。今年はここに1ヶ月もいていいって言われて、私楽しみで楽しみで!糸兄と昔みたいに、遊べなくてもいっぱい話したいなぁって…」
糸「そう…だな…」

○島の港・夕方
わたると翔太が荷物を持って船をおりる

わたる「(深呼吸)(大声)んー!ただいま!!」
翔太「ちょっと、わたる!うるさいよ!!」
通りがかりのおばあちゃん「おかえり」

おばあちゃんが2人に笑いかける
わたると翔太、おばあちゃんに会釈する

わたる「やっぱり、この島は温かいなぁ!」
翔太「そーだね。東京で同じことやると引かれるもんねー」
わたる「よし!アイツらもところに行くか!」

わたると翔太、歩き出す
わたるのバッグについてる、サンタコスのうさぎのストラップが揺れている

○宿舎雅・3号棟・キッチン、リビングルーム
さくら、エプロンをひて夕飯の支度をしている
はじめ、キッチンの入口からさくらを覗いている

はじめ「かわいいなぁ。女子高生の作ったご飯が食べられるなんて幸せだよぉ」

一馬、はじめの後ろから顔出す

一馬「あの子さ、普通に可愛いよね。なんで島にバイト来たんだろう?」
はじめ「そんなことどーでもいいだろー」

涼、反対側の壁からキッチンを覗く

涼「おまえ、デレデレしすぎだろ」
はじめ「そう言う、涼だって覗いてるじゃーん」
涼「俺はちょっと…」

涼、さくらを見つめる
さくら、視線に気付き入口に目をやる

さくら「え?!いつから居たんですか!まだ、出来ませんから大人しく待っててくださいね!」
はじめ「はーい!」

3人、キッチンから離れる
はじめ、ソファに倒れ込む
一馬と涼、ソファと対面のイスに座る

はじめ「はぁぁぁ、かわいいなぁ」

一馬、難しい顔をしている

涼「どうした?」
一馬「いや、んー…なんでもない!」

糸、リビングルームに入ってくる

糸「わたると翔太きたよ」

3人にそれだけ伝え、キッチンに向かう
翔太、リビングルームに入ってくる
わたる、リビングルームの扉スレスレで入ってくる

わたる「よ!久しぶり!」
一馬「わたる!翔太!てか、わたるまた背伸びた?」
わたる「もう少しで190だよ」
涼「少し、怖いよ。」

わたる、軽くショックを受ける
一馬、わたるの頭を撫でる

一馬「大丈夫だぞ、涼だって会えて嬉しいんだから」
翔太「てか、はじめくんは何してんの?」
涼「バイトの子に泥酔してる。」
翔太「バイト?」
一馬「あー、糸の親父さん手術するのに入院するらしいから、その間のバイトの子!」
翔太「…ごめんね、一馬。もう少し詳しく…」
涼「そのバイトで来た子が女子高生で、その子にメロメロ状態なんだよ。」
わたる「じょ、女子高生?!こんな男ばかりの宿舎にか?!」
涼「そうだよ。」
翔太「なるほどねぇ。女の子大好き人間のはじめくんがこんな骨抜きにされちゃ、相当かわいいんだね。」
一馬「まぁ、確かにかわいいと思うよ!でも…」

一馬、また考え込む
はじめ、起き上がる

はじめ「あ。翔太、わたる。おひさー」
翔太「おひさー…相変わらずだね」

糸、キッチンから出てくる

糸「ほら、夕飯出来るから」
5人「はーい」

各々、席に着く

翔太、糸に近寄る

翔太「糸くん、なんか手伝う?」
糸「あ、じゃあ飲み物お願い。冷蔵庫にあるから」
翔太「はーい」

糸、夕飯を一人一人並べていく
翔太、グラスと飲み物を持ってくるが俯いてる
はじめ、翔太の異変に気づく

はじめ「翔太ー?」
翔太「あ、あのさバイトの子さ」
はじめ「見た?可愛いでしょ!」
翔太「う、うん…」

翔太、飲み物を準備しはじめる。
さくら、キッチンからでてくる
わたる、さくらをみて驚いて席を立つ

糸「わたる、どうした?」
わたる「え、なんで…さくらがいるんだ?…」

5人「え?」

賑やかだったリビングが静かになる
さくらに注目が集まる
○宿舎雅・リビングルーム
さくら、困る

さくら(さくらですけど…名前は言うなって糸兄に言われたし。というか、なんで知ってるんだろう。)

さくら、目線で糸に助けを求める
糸、大きくため息を着く

糸(溜めて)「そうだよ。この子は空野さくら。俺のいとこです。」
一馬「やっぱり!さくらだよ!なんか、見たことあると思ってたんだよねぇ!懐かしいなぁ」
涼「おい!」

一馬、黙る

はじめ「あはは、あのさくらちゃんかぁ!さくらは覚えてないかもだけど俺たちは、知ってたんだよねー。ほら、糸とよく遊んでたから。ね?」

わたる「お、おう!あんな小さな子がこんな素敵になるなんてな!」
さくら「そうだったんですね!(小声)糸兄言ってくれればいいのに!」
糸「あぁ…」
はじめ「さっ!せっかくのご飯が冷めちゃうから食べよ!」

夕飯の支度の続きをし始める
糸、立ったままでいる

はじめ「糸」

糸、はっとして席に向かう

○1階・管理人室
さくら、ベッドに倒れ込む

さくら「意外に疲れた…。あっ!そうだ先にお風呂行かなきゃ!」

さくら、支度をし始める

○地下一階・リビングルーム
はじめと涼、自分の席に座ってコーヒーを飲む
一馬、ソファ席に座りぼーっとしている
わたる、立ってそわそわしている
糸と翔太、キッチンから出てくる

糸「ありがとう、たすかったよ」
翔太「いいのいいの。片付けくらい手伝わせて」

はじめ、糸が来たのを確認する

はじめ「さて、糸くん説明してくれ。」

糸、はじめを見る

はじめ「なぜ、さくらだと話さなかった。」
糸「そんなの、知られてお前らがさくらにベラベラ話さないようにするためだろ」

糸、一馬を見る
一馬、ビクッとする

翔太「それでも、言って欲しかったよ?僕らそんなに信用ない?」
わたる「そうだ。糸がさくらを大切に思っているように、俺らもあの頃からさくらが大切だ。」
涼「あの時の事、さくらは忘れてるだろ?」
糸「ああ、忘れてるよ」

糸、手に力が入る
はじめ、立上り糸に近づく

はじめ「違うだろ。糸、さくらを取られたくなかっただけだろ?」
糸「は?」
はじめ「もう、あの頃とは違う。さくらはお前のものじゃねーよ。というわけで、俺はここにいる間、さくらをたっくさん可愛がるから。」
糸「え?」

糸、くびをかしげる

涼「そうだな。もう、あの頃とは違う。俺らはちゃんとさくらと話すことができる。文句ないよな?」
一馬「お、おれも!!さくらと仲良くなりたい!」

一馬、立上り挙手する

わたる「まるで、争奪戦だな!」
翔太「まぁ、さくらちゃん次第の戦いかもね」

わたると翔太、笑顔で話す
糸、ため息をつく

糸「あーもう。別にいいよ。好きにしな」
はじめと一馬「いえーい」

はじめと一馬、ハイタッチする
さくら、部屋着で髪が濡れた状態で入ってくる

さくら「あ、皆さんいる。あのぉ、ドライヤーって…」
糸「あぁ、ドライヤーは…」

涼、さくらの元に既にいる

涼(糸の言葉を遮るように)「ドライヤーなら隣の洗面所にあるから、一緒に行こう。」

涼、さくらにほほ笑みかける

さくら「あ、ありがとうございます」

さくらと涼、出ていく
残り5人、呆気に取られる

翔太「そーいえば、さくらのこと1番好きだったの涼ちゃんだよね?…」
一馬「負けてらんねー!!!」

一馬、リビングルームを飛び出す

はじめ「ははっ!なんか今年は面白くなりそうだなぁ」

はじめ、糸を見る
糸、少し悲しい顔をしている
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