虹色の愛
争奪戦開始!

○(回想)神社・午後
さくら(4)、座り込み泣いている
膝からは血が流れる
男の子(顔は見えない)が救急箱を開ける
男の子、大きめの絆創膏を貼る
さくら、治療されてる中ずっとその様子を見ている

さくら「すごいね!お医者さんみたい!ありがとう!!!」

男の子、照れる
(回想終わり)

○宿舎雅3号棟・外観・朝
スマホのアラーム音が鳴る

○3号棟・管理人室
スマホは4:30を表示し、アラームの音がなっている
さくら、スマホのアラームを止める

さくら「眠すぎる」
さくら(それに久しぶりに糸兄との夢見たなぁ…)

さくら、身体を起こし部屋にある洗面へ向かう

さくら(結局、昨日の夜は植野さんに髪を乾かしても貰い、わたるさんにお菓子をもらい、一馬さんにアイスをもらって…なんか、お兄ちゃんがいっぱいできたみたい。それに…)

* * *
糸「いいか、さくら。アイツらの事なんて無視していいんだからな!」
さくら「でも、一応お客さんでしょ?おばさんサービスはしてるけどお金貰ってるって…」
糸「うっ…それでも、迷惑だと思ったら突っ返していいんだぞ」

さくら、両手に色んな貰い物を持っている

さくら「大丈夫だよ、だって私は嬉しいもん」
* * *

さくら「糸兄、なんかあの人達と私を避けたがってるんだよなぁ」

さくら、支度を整え部屋を出る

○地下一階・リビングルーム
糸、席に座りコーヒーを飲みながらスマホを見てる
さくら、リビングルームに入ってくる

さくら「おはよう、糸兄」
糸「おはよう。起きられたんだな」
さくら「昔のこと夢に出てきてさ。ほら、糸兄が私の怪我を治療してくれた時のこと」

糸、思い出そうとする

糸「んー、そんなことあったかな」

さくら、少し落ち込む

さくら「まぁ、昔だからね。てか、毎朝こんなに早いの?」
糸「今日はせっかくだから連れていきたいところがあってさ」
さくら「どこ?」
糸「朝市」

○宿舎雅3号棟・外入口・朝
糸、イラついている

糸「で、なんで朝っぱらからお前らがいんだよ?!」

糸とさくらの隣にはじめ、涼、翔太がいる

はじめ「朝市、俺も行きたいモーン」
翔太「僕はこの時間に起きるからたまたま…」
涼「俺も」

はじめ、糸にお願いのポーズをしている

さくら「いいじゃん!!みんなで行くの楽しそうだよ?」
糸「えっ。さくらがいいなら、まぁいいか…」
はじめ「いえーい!れっつごー!」

はじめ、駐車場へ走っていく

さくら「いえーい!ごーごー!」

さくら、はじめの後を追いかける

翔太「あはは、さくらちゃん可愛いなぁ」
涼「朝からテンション高いのはいい事だ」
糸「おい。昨日の一馬に対しての反応と全然違うぞ」
涼「さくらは特別。」

3人も駐車場へ向かう

○島の港・魚市場・朝
人が賑わい、魚だけでなく野菜なども売られている
さくら、目を見開く

さくら「すごい!市だ!!」
翔太「さくらちゃんは都会っ子だからこーゆーの珍しいのか」
糸「さくら、行こう」

糸、さくらの手を思わずひいてしまう
さくら、少し驚く

糸「ああ、ごめん。つい癖で…」
さくら「いいよいいよ!懐かしいね。このまま行こう」
糸「あ、うん」
はじめ「じゃあ、俺は反対が…わ…」

はじめ、さくらの左側に行こうとする
涼、さくらの左側にいる

涼「さくら、俺ともいい?なんか妹みたいでさ」

涼、さくらに笑いかける

さくら「もちろんです!私もいっぱいお兄ちゃん出来たみたいで楽しいです」

はじめ、頬を膨らませ涼を睨む

翔太「まぁまぁ、ほら僕と繋ご?」

翔太、はじめに手を差し出す
はじめ、イラつきつつも手を繋ぐ
5人で市を練り歩く

糸、野菜の善し悪しで悩んだり
さくら、果物を大量におまけされ
はじめ、隙あらばさくらにくっつく
涼、それを阻止する
翔太、買い込む糸が心配になる

さくら(朝からこんなに賑やかで楽しいの久しぶりすぎる。)

○島の港・魚市場・駐車場
車には大量の購入品
さくら、助手席で荷物を持っている

はじめ「さくらー重くない?俺持つよ?」
さくら「大丈夫ですよ、ありがとうございます」
糸「あ、1号棟と2号棟にも寄るわ」
翔太「はーい」
さくら「(少し考えて)お母さんたちにもあげるの?」

さくら、運転席の糸に聞く

糸「うん、だから多めに買ったんだ」
さくら「なるほどね」
さくら(優しいのは変わらないなぁ)

さくら、嬉しそうに笑う
車が出発する
日がしっかり出ていてセミの鳴き声が聞こえる
○宿舎雅・2号棟・外観
宿舎の棟は少し離れたところに並んでいる。
さくら父、外のBBQスペースの掃除をしている
さくら父、物音が聞こえ正面玄関の方を向く
さくらと糸、荷物を抱え外階段をおりてくる

さくら父「おーおはよう!どうしたの?」
糸「これ、今日朝市に行ってきたんです。良かったら使ってください」
さくら父「うわぁぁ、すごいね!新鮮なものばかりだ!ありがとう!」

さくら母が外階段をおりてくる

さくら母「あら、2人とも朝からどうしたの?」
さくら「朝市に行ってきたの。すっごかったよ!都内では絶対見ない光景だったわ〜」
さくら母「よかったわね。糸くん、ありがとう」
糸「いえいえ、じゃあそろそろ行きますね」
さくら母「うん、気をつけてねー」

さくらと糸、外階段をのぼる
さくら母、手を振っている

さくら母「楽しんでるみたいでよかったわ」
さくら父「そうだね、あんなにニコニコしてるさくら見るのは久しぶりかもね」
さくら母「そうね…」

○宿舎雅・3号棟・キッチン
糸、買い込んだものを整理している

○リビングルーム
扉が開く
わたる、あくびをしながら入ってくる
わたる、キッチンへ向かう

○キッチン
わたる「おはよう」
糸「おはよう、コーヒーは入ってるから」
わたる「はーい」
糸「(小声)一馬はまだ寝てるよな…」

わたる、コーヒーを入れている

わたる「あ、一馬はお風呂入りに行ったよ?」

糸、キッチンから顔を出す

糸「えっ?!」
わたる「さっき入ってくの見たよ」
糸「まずい…」

○3号棟2階・お風呂場
さくらがお風呂の掃除をしている
扉は閉めたまま

○3号棟2階・脱衣所とお風呂場
一馬、服を脱いでいる
一馬、お風呂の扉を開ける
さくら、扉に背を向けている
一馬、さくらに気付き急いで閉める

一馬「え?さくら?…」

糸、勢いよく入ってくる
一馬、驚く

一馬「うわっ!!糸!!」

さくら、声に気付き扉を開けようとする

糸「開けるな!!」

さくら、びっくりして動きが止まる

さくら「糸兄?」

一馬「え?え?なんでさくらいるの?」
糸「俺が風呂掃除頼んだんだよ。まさか、こんなに早く起きてくるとは思わなくてさ…見せてないよな?」

糸、怖い顔になる
一馬、全力で首を振る

さくらの声「糸兄、掃除終わったよー。開けていい?」

糸、一馬に脱いだ服を持たせて脱衣所を追い出す
一馬、タオルだけ巻いて脱衣所の外に出される

糸「ああ、もう開けていいぞ」

さくら、お風呂場から出てくる

さくら「どうしたの?」
糸「いや、なんでもない。朝食作るの手伝って」

糸、ドアを開け外を確認する
さくら、首を傾げる
さくらと糸、脱衣所から出てきて階段をおりる

○3号棟・2階上り階段
一馬、バスタオル1枚で隠れるようにいる
翔太、3階からおりてくる

翔太「え?かずくん、なにしてるの?」
一馬「糸…こわかった…」

翔太、とりあえず一馬の頭を撫でる
○リビングルーム
さくらと糸、朝食の支度を進めている
翔太とはじめ、さくらの手伝いをする

翔太「さくらちゃん、メガネ伊達?」
さくら「そうなんです。今、メガネにハマっててしてないと落ち着かないんですよねぇ」
はじめ「それにしても、傷結構ついてない?」

さくら、メガネをとり傷を確認する
翔太、さくらのメガネを見る

翔太「ほんとだー」
さくら「まぁ、1年半くらいずっとつけてるんで」
はじめ「え?ハマりすぎじゃない?!」

はじめ、驚きつつも笑ってしまう

翔太「さくらちゃん、凝り性なんだねー」

わたる、涼、一馬の順で入ってくる
一馬、テンションが低い

わたる「おはよう!ぬおっ?!」

わたる、メガネを外すさくらを見つける
さくら、わたるを見る

わたる「か、かわいい!」
はじめ「確かにメガネでさくらの可愛さが隠れるのが勿体ないよなぁ」
さくら「あ、ありがとうございます。でも、すみません、かけます!」

さくら、照れつつも眼鏡をかけ直す
翔太、さくらに近寄る

翔太「さくらちゃん、お仕事ひと段落したら、僕の部屋来てくれる?」
さくら「えっ?…」
翔太「ちょっと、お願いがあってさ」
さくら「わ、わかりました」

糸、キッチンから出てくる
一馬、びくっとする

さくら「一馬さん、どうしました?」

さくら、一馬に近づき心配そうに見つめる
一馬、思わずさくらに抱きつく

一馬「さくらぁぁ、糸怖いよぉぉ」
さくら「え?…だ、大丈夫ですよ。糸兄は優しい人ですよ」

涼、しれっとさくらに抱きつく

涼「ナンカ、オレもイト、コワイナー」
はじめ「涼はただ、さくらに抱きつきたいだけだろ!!」
糸「おい、朝ごはん出来ましたが?」

糸、イラつく
一馬、さくらからすぐ離れる
涼も仕方なく離れる

さくら(なんか、皆さんからすごい好意を向けられてる気がする…)

みんなで朝ごはんを食べ始める

N「今頃気づく、さくらであった。」
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