【短】だからもう、俺にちょうだいって。
え、死んじゃうの……?
言われてみれば少女マンガにはそういう存在が必ずと言っていいほど登場するけれど、死ぬことはまずない。
それにしてもずいぶんと少女マンガに詳しいみたいだ。
「あーー、収まる見込みのない怒りで世界を統一できそう」
「…それはそれで平和になるね」
「………」
結多くんが世界を統一するなら、きっと素敵な世界になること間違いナシだ。
みんなが笑顔。
その裏で苦しい思いをする人はいるかもしれないけれど、彼に見つかってさえしまえば救われる。
「このみちゃん、ちょっとごめん」
「きゃ!」
ふわっと浮いたかと思えば、私の身体は腰を下ろした結多くんの膝のうえにあった。
お弁当どうしよう…。
チョコレートも教室だ。
でも、今はこの時間のほうが大切かも。
「俺さ、たまに不安になる」
「不安…?」
「このみちゃんって掴めるようで掴めねーのよ。…なんか、掴んだと思ったらふわって消えちゃいそうだなーって。君は……気体か何かなのかい」
「そ、それは私のセリフだよ…?」
「へ?」