【短】だからもう、俺にちょうだいって。




初めて聞いた、結多くんの関西弁。

ここはバリバリの関東だよ結多くん。



「あんなにうなじ出してまったくどーするつもりなんだい。忘れもしない夏休みの袖という袖を取っ払ったノースリーブといい、あんなのギリギリセーフのふりしたアウトだわ。ド、アウトだわ。
俺は君の無防備さがほんとに心配すぎてハゲ散らかりそう」


「……したいように、してるだけで…」



むっとしながら伝えると、熱弁していた結多くんは目をパチパチとまばたきさせて。

それからぷはっと吹き出した。



「ふっ、ははっ!あーもう。このみちゃんの自分をちゃんと持ってるとこ、ほんっとたまんねえわ」


「…結多くんが気にしすぎなの」


「わかる。でもさ、考えてよこのみちゃん。君はもう、ひとりの身体じゃないんだから」


「……いや、ひとりの身体です」



それって赤ちゃんがお腹にいる妊婦さんへと言うセリフだ。

だからバッサリお答えすると、そこでも結多くんの笑顔が広がった。



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