【短】だからもう、俺にちょうだいって。
「私…、結多くんの彼女になれて……うれしい」
今だってまた違う顔をして目を細めてくれているんだから。
私が一言一言を伝えるたびに、すごくすごく泣きそうな顔。
それはここにきて初めての、私からの“告白”だった。
「チョコっ、やっぱり持ってくる…!すぐ取ってくるから待っ───…きゃっ!」
あわてて立ち上がろうとした私の身体は、ぎゅうっと閉じ込めるように戻された。
「…このみちゃん。もっと聞きたい」
「え…?」
「ほらバレンタインってさ、言っちゃえば告白する日でしょ?
だからこのみちゃんがいつも言えなくて我慢してること、俺に聞かせろください」
いつも言えなくて我慢してること…。
考える前に思いついたことが幾つかあった。
「……いつも、いろんな人に囲まれる結多くんは好きだけど……きらい」
「うん」
「私の結多くんなのにって……たまに、思っちゃう」
こんなこと言って嫌われない…?
バレンタインだからって甘えてバチが当たらない…?