【短】だからもう、俺にちょうだいって。
「心配しなくても、紛れもなくこのみちゃん専用結多だから」
「……いや、結多くんは結多くんのものだよ、」
「ふっ、はははっ!そこでこのみちゃん節発揮するとかズリィって」
この笑顔、だいすき。
ってことを、これからはもっと言葉に出して伝えようと思った。
「ヘアワックスも……」
「ん?ヘアワックス?これ?」
校則というものを軽く飛び越えている跳ねた毛先と、くしゃっとボリュームが加えられたトップ。
こうしていつも以上にセットされる日は、彼が何かを私に期待しているとき。
「せ、先生に怒られちゃうよ結多くん」
「大好きな彼女のためですって堂々と説得してやったね」
「…でも、ダメだよ、」
「……あ、うそ、匂い嫌い?それかこのみちゃんはこーいうの無理だったりする?
だったら今すぐにでも水道で落としてくるんだけど俺」
ちがう、そうじゃない、そうじゃなくて。
結多くんがそうすることで目を惹かれる女の子がまた増えちゃうの。
「───……すぎる、から」
「え?ワンモアプリーズ」
「……っ、かっこ、よすぎる…から、」
「……可愛すぎるから」
「きゃっ!結多くん…!」