【短】だからもう、俺にちょうだいって。




「なんていうかぜんぶ省略して言うと、いや本当は省略なんかしたくねーんだけど、今だけ大変恐縮ななかで省略させてもらうと。
…ほんとに大切にしたい女の子は丁寧に扱いたい男だから俺って」



そんなことを言われたら許してしまう、私の扱いやすさ。



「てっかさあ、ずっとそんな可愛いこと言わずに隠してたとか……やっぱ天使も女神も通り越したヴィーナスじゃねえかよ」



…よく分からないよ結多くん。

でも、ずっと言えなかった気持ちを言わせてくれたバレンタインには感謝だ。



「じゃあこのみちゃん。俺しか貰えないバレンタインちょーだい」


「え───、んっ!」



ねえ、結多くん。
ずっとずっと我慢してた…?

そんなふうに思ってしまう柔らかさと激しさが唇を溶かしてきた。



「んん…っ、はあっ…、ゆい、んっ!」


「だめ。…離れんなって」


「っ…!」



いつも笑顔を絶やさない人気者な男の子が、私にしか見せない表情と声。

チョコレートなんかとは比べ物にならない甘い甘いものが、私にどんどん落とされゆく。



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