【短】だからもう、俺にちょうだいって。
制服のリボンもいつの間にか取られてしまって、ぐったりと熱を持った身体は彼の手によって支えられていた。
「…ゆいた、くん」
「…俺やばいかも…、このみちゃんの言動ぜんぶにムラッ……キュンときて死にそう」
あのね、俺のなかの天使と悪魔が言ってんの───、
はにかんだ彼は、つづける。
「“彼女はあなたの大切な人なんだから、ハチャメチャに愛しなさーい”、
“いやいや、彼女の泣きそうな顔は可愛すぎるからもっと出させるんだ~”って」
………それ、結局のところ両方が言ってることは同じだよね?
どうなってるの、結多くんのなかの天使さんと悪魔さん。
「あ…っ、んっ、ひゃぁ……っ」
どうしよう、食べられちゃう。
彼にとってのチョコレートは私なんじゃないかって、そんな馬鹿げたことを本気で考えてしまった。
「結多くん…だめ…、ここは学校だよ……、授業、あるから、」
「…俺たちだけの保健体育、しようぜ」