あさまだき日向葵
「飛行機の中で、あのドラマとかであるやつ。『お客様の中で~』ってのあるじゃん。あのアナウンスがあって」
「あ!お医者様はいらっしゃいませんか?ってやつ? 急病人とか出たら言うんだよね」
「そ。それが流れて……父親が俺の方ちらって見たんだよ。俺と旅行に来たのに、こんなとこに来てまで仕事かって気を遣ったんだろうな。その時に気付いたんだ……親父にとって全然子供と向き合えてないのが辛かったんだろうな。ずっと忙しかったから。その穴埋めっつか、そのつもりで俺を旅行に連れて行ったんだと思う。特に俺、兄弟の真ん中だから全然かまってないみたいな負い目があるみたいだな」
「そっかあ。ご両親はご両親で色々と気にかけてらっしゃったんだね」
「そうみたいだな。で、横でそわそわしてるから『行けよ』って言ったんだ。親父が立ち上がってそこに行くと、周りの人がほっとしたんだ。俺たちなんて外国人なのに。幸い大したことなくてすぐ戻って来た。『大丈夫だったの?』って聞いたら『たぶん』って言ったんだぜ?あの人」
たぶん……
「どういうこと?」
「『専門じゃないから、わからん。たぶん大丈夫だ』って。でもさ『何かあれば指示は出せる』って。道具も何もないと応急処置くらいしか出来ないって。でも、知識があるだろ? 普通の人は怖くて近寄れないし、触れない。何かあったらって思う。でもそうじゃない。それだけのことだって。医者が横にいたら安心するだろ? みんながほっとしたの、そういうことだ。でも、それってすごくないか?」
「そうだね、すごく……安心する」
「あ!お医者様はいらっしゃいませんか?ってやつ? 急病人とか出たら言うんだよね」
「そ。それが流れて……父親が俺の方ちらって見たんだよ。俺と旅行に来たのに、こんなとこに来てまで仕事かって気を遣ったんだろうな。その時に気付いたんだ……親父にとって全然子供と向き合えてないのが辛かったんだろうな。ずっと忙しかったから。その穴埋めっつか、そのつもりで俺を旅行に連れて行ったんだと思う。特に俺、兄弟の真ん中だから全然かまってないみたいな負い目があるみたいだな」
「そっかあ。ご両親はご両親で色々と気にかけてらっしゃったんだね」
「そうみたいだな。で、横でそわそわしてるから『行けよ』って言ったんだ。親父が立ち上がってそこに行くと、周りの人がほっとしたんだ。俺たちなんて外国人なのに。幸い大したことなくてすぐ戻って来た。『大丈夫だったの?』って聞いたら『たぶん』って言ったんだぜ?あの人」
たぶん……
「どういうこと?」
「『専門じゃないから、わからん。たぶん大丈夫だ』って。でもさ『何かあれば指示は出せる』って。道具も何もないと応急処置くらいしか出来ないって。でも、知識があるだろ? 普通の人は怖くて近寄れないし、触れない。何かあったらって思う。でもそうじゃない。それだけのことだって。医者が横にいたら安心するだろ? みんながほっとしたの、そういうことだ。でも、それってすごくないか?」
「そうだね、すごく……安心する」