あさまだき日向葵
人を好きになるということは、とても忙しい。今までと同じくらい勉強の時間を確保して、その他の時間は自分の外見を気にする事が増えた。雑誌を買ってコーディネートを考えてみたり、爪の形を整えたり、そんなこと。陽葵なら短い髪でもうまくアレンジするんだろうな……。夏休み前にやり方聞いておけば良かった。

もう少し、鼻が高ければな。睫毛だって、塔ヶ崎くんの方が絶対に長い。塔ヶ崎くん、どう思うかな。
それから、塔ヶ崎くんと並ぶと……絶対にアンバランスだ。正反対だと思う。
私が横にいるの、みんな納得しないと思う。
私が陽葵みたいに可愛くておしゃれで、清夏みたいに男子ともにこにこ会話ができる人なら?みんな、納得するの?

……あれ?“みんな”って誰だろう?
最近、変だな、私。

人の目が、気になるなんて。

塔ヶ崎くんが誰か女の子と歩いていたら嫌だなあ。それが彼女だとしたらもっと嫌。
それが私なら?どんな気持ちなんだろう。みんなが嫌だろうな、じゃなくて、私は……どう思うんだろう。

塔ヶ崎くんは……私が隣にいるの、嫌じゃないのかな?みんなに見られるの、嫌じゃないのかな。

嫌じゃないから、誰かと出会うかもしれない花火大会に『行こうか』って言ってくれたんだよね?

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