さよなら、真夏のメランコリー
逆に、手術をするのはスポーツ選手や日常的にスポーツをする人。
靭帯が断裂している以上、脱臼のリスクは上がるため、日常生活がスポーツと密接している人の大半は靭帯再建手術を受け、その後はリハビリに励む。


ただ、そのリハビリが大変なのだ。


痛みが強かったり足が思うように動かなくなっているのはもちろん、リハビリが上手くいくとは限らない。
上手くいっても、一〇〇パーセント元通りになるという保障はない。


完治したとしても、どうしたってけがをする前よりも不調が生じることはある。
そもそも、リハビリ期間は数ヶ月に及ぶため、その間はまともなトレーニングもできない。


「サッカー選手で約一年かけて復帰した人がいるって見て、その時は希望よりも絶望感の方が大きかった。一年なんて次のインハイには間に合わない。高校生の俺にとっては、致命的なことに思えたんだ」


それは当たり前だ。
部活でもスクールでも、一日一日の練習が過酷だった。


ほんの数日休んだだけで、感覚を取り戻すのにそれ以上の期間がかかることだってある。
だから、部員もチームメイトたちも、滅多なことでは休んでいなかった。

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