はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
それから一ノ瀬くんは、バイトのない日は昇降口の外で私を待つようになった。
いつも一緒に帰っていた仁乃に悪いと思ったけど、仁乃はニヤニヤと楽しそうに「気にしないで!一ノ瀬くん、明華をよろしくねー」なんて言って帰って行く。
一ノ瀬くんは私が来るまでの間、同級生らしい女の子たちに囲まれていて、私が来るとすぐにその輪を出てくる。
付き合ってもないのに、なんだか悪いな・・・と思いながらチラッとその子たちの方を振り向くと、
「西村先輩なら仕方ないよねー」
なんて言いながら女の子たちがバラけていく。
でもその中で、じっと私を睨んでいる女の子と目が合ってしまった。
居た堪れずに正面を向き直したけど、絶対、あの子は一ノ瀬くんのことが好きだ。そう確信できた。
そうだよね・・・
本気で好きな子だっているよね。
その子からしたら、私は邪魔者以外のなんでもない。
一ノ瀬くんのことを好きでもないのにね・・・。
はぁ、自分がすごく悪者に感じてしまう。