はやく俺のこと好きになってよ、先輩。


それから一ノ瀬くんは、バイトのない日は昇降口の外で私を待つようになった。


いつも一緒に帰っていた仁乃に悪いと思ったけど、仁乃はニヤニヤと楽しそうに「気にしないで!一ノ瀬くん、明華をよろしくねー」なんて言って帰って行く。


一ノ瀬くんは私が来るまでの間、同級生らしい女の子たちに囲まれていて、私が来るとすぐにその輪を出てくる。


付き合ってもないのに、なんだか悪いな・・・と思いながらチラッとその子たちの方を振り向くと、


「西村先輩なら仕方ないよねー」


なんて言いながら女の子たちがバラけていく。


でもその中で、じっと私を睨んでいる女の子と目が合ってしまった。


居た堪れずに正面を向き直したけど、絶対、あの子は一ノ瀬くんのことが好きだ。そう確信できた。


そうだよね・・・


本気で好きな子だっているよね。


その子からしたら、私は邪魔者以外のなんでもない。


一ノ瀬くんのことを好きでもないのにね・・・。


はぁ、自分がすごく悪者に感じてしまう。

< 27 / 183 >

この作品をシェア

pagetop